第一巻

火焔太鼓

古道具屋のぼんやり亭主としっかり女房。薄汚い太鼓に法外な値がつき、なれない大金にあわてふためく夫婦の大騒動。

猫の皿

入った茶店の猫をふと見ると、その価値三百両という「高麗の梅鉢」で餌を食っている。なんとか手に入れようとする行商人だが…。

第ニ巻

稽古屋

女にモテるためには何か人にできないことを覚えなくては…と、不純な動機で唄を習いにきた男の顛末。

鰻の幇間

人に取り付いてタダ飯にありつこうという幇間（たいこもち）。うまいことをいって鰻をご馳走になるが…。

天狗裁き

夢で大儲けした隣人にあやかって、亭主が見た夢を聞き出そうとする女房。しまいには、天狗までが亭主の夢を知りたがる。

第三巻

三枚起請

遊女・喜瀬川と「固い約束」を交わしたという男が三人あらわれた！だまされたと知った三人はなんとか反撃しようと策を練る。

たいこ腹

鍼に凝り始めた若旦那。最初は枕や畳に打ったりしていたが満足できない。そこで太鼓持ちの一八に「おい、お前の体に鍼を打たせろ」。

道灌

ご隠居に、太田道灌に和歌を始めるきっかけを作った娘の話を聞いた八五郎。頓珍漢な解釈で、必死にその娘の真似をしようとする。

第四巻

唐茄子屋政談

若旦那の徳は道楽が過ぎて勘当された。「勘当？結構！」と家を飛び出した徳は、てんびん棒を担いで、唐茄子を売り始める。

強情灸

負けず嫌いの江戸っ子二人。一人がいっぺんに三十二か所も灸を据えたと自慢すれば、もう一人は山のような灸に火をつける。

第五巻

妾馬

大名の跡継ぎを生んで出世した妹を持つ八五郎。ある日その大名の所に出向くが、がさつ者の八五郎は、言葉遣いを全く知らない…。

あくび指南

長屋に住んでいる暇人が、「あくび」の指南を受けるという。男は「あれは茶の湯から出たもんで、結構むずかしいんだ」というが。

幾代餅

吉原一の花魁に一目惚してしまった清蔵。とても手の届く存在ではないが、親方に「一年間懸命に働けば会わせてやる」と言われ…。

第六巻

粗忽長屋

あわて者の八は、行き倒れで死んだ男を同じ長屋の熊だと思い込む。長屋に戻った八は、熊を見て「おい、外でお前が死んでるぞ」。

替り目

しこたま酔って帰って悪態をつく亭主。実は女房想いのこの亭主、女房がそばにいるのに気付かず、本音をポロポロとこぼしはじめる。

千早振る

和歌の「千早振る神代もきかず竜田川…」の意味をきかれたご隠居は、「昔、竜田川という相撲取りがいて…」と珍解釈。

鮑のし

腹は減ったがお金がなくて困った甚兵衛。しっかりものの女房のいうとおりに、五十銭で買ったアワビを一円に替えようと大奮闘。

第七巻

五人廻し

たった一人の花魁を待ち続ける四人の客。入れ替わり立ち替わり番頭の男に文句をつけ始める。そこで五人目の男は…。

黄金餅

死の間際に、貯め込んだ金を餅にくるんで食べてしまう男。それを隠れて見ていた男は、なんとかその金を手にしようとして奔走する。

二階ぞめき

吉原をひやかして歩くのが大好きな若旦那に手を焼いた番頭は、なんと家の二階を吉原そっくりに作り替えてしまう！

第八巻

お直し

晴れて花魁と夫婦になった男だが仕事がうまくいかず、また女房に客を取らせるハメに。人一倍ヤキモチ焼きの男だけに、これがひと騒動。

藁人形

作り話で坊主の西念を騙し、まんまと二十両をせしめた女郎のお熊。騙されたと知った西念は、家に閉じこもってお熊を呪いはじめる。

第九巻

文違い

恋人の芳次郎から三十両を無心された女郎のお杉。馴染みの男どもから金を騙しとるが、そのお杉も芳次郎に騙されていた…。

淀五郎

歌舞伎役者として認められ、異例の大抜擢を受けた芝居茶屋の倅・淀五郎。とまどう淀五郎の、涙あり笑いありの苦心談。

第十巻

井戸の茶碗

若い武士が三百文で買った仏像の中には五十両の小判が…。清貧を貫く二人の武士と、間に入った正直者の屑屋の人情噺。

抜け雀

「宿泊代の代わりに」と一文無しの男が宿屋の屏風に描いていった雀の絵は、時がくると雀が抜け出て飛んでいくという珍品！

第十一巻

鈴振り

寺の跡継ぎを決めるのに困った大僧正は、弟子の中で「半裸の芸者に囲まれても股間に縛り付けた鈴を鳴らさない者」を選ぶことにした！

風呂敷

旦那のいないスキに若い男を家に入れた女房だが、予想外に早い旦那の帰宅。困った女房はとりあえず押し入れにその男を隠す。

第十二巻

らくだ

「らくだ」という渾名の男を訪ねた兄貴分だが、当人はフグに当たってすでに死んでいた…「らくだ」の死体を巡って起こる珍騒動。

品川心中

歳とともに客が付かなくなってきた女郎のお染。いっそ死んでしまおうと、お染は心中する相手を探しはじめる…。