没後、長い間その作品たちは眠っており、幻の童謡詩人とも呼ばれた金子みすゞ。童謡作家の矢崎節夫氏の手によって発掘されて以来、30年以上老若男女に親しまれてきました。本全集では、ＣＤ集、書籍集それぞれにみすゞが創作した詩512篇すべてが収録されています。そっと背中を押してほしい時、心がふさぎ込んでいる時、喜びを全身で表したい時、その時々のあなたの気持ちに寄り添ったお気に入りの一篇が、きっとこの全集から見つかります。

みすゞのどの作品を読んでも、風や土、四季折々の植物、海、川、日常にあふれている何気ないものたちにスポットが当てられています。身近なものに向ける温かいまなざしこそが、詩の原点なのです。大人になるにつれ、だんだんと忘れてしまった、純粋な気持ち…みすゞが創りだす穏やかな世界に触れることで、あなたの中にある優しい心が呼び起されてきます。

ＣＤに耳を傾けると、心地よい音楽に乗せられて名女優・若村麻由美さんの朗読が聞こえてきます。透き通った若村さんの声は、みすゞが謳った情景を鮮明に映し出すようで、作品の中にぐんぐん惹きこまれていきます。
また書籍では、詩のひとつ、ひとつを時間をかけてゆっくりと鑑賞することができます。あなた自身が声に出して読んでみることで、日本語の美しさ、詩のリズムの面白さに、改めて気付くことが出来るでしょう。
本全集で、それぞれ違ったやすらぎの時間をお過ごしください。