第1巻朗読：市原悦子

※市原悦子さんは平成31年1月、逝去されました。

『よだかの星』宮沢賢治

心優しい鳥「よだか」は外見の醜さのせいで、まわりになじめず苛められてきた。そしてそんな自分も罪のない虫を食べて生きていることに心を痛め、ついには死を決意する。灼け死ぬ覚悟で太陽や星に向かって飛んでいく「よだか」に賢治が用意した��救い"とは…。収録時間：19分02秒

『オツベルと象』宮沢賢治

ある日オツベルのもとに一頭の白象がやってくる。オツベルは白象が何でも言うことを聞くのをいいことに、ろくに餌も与えず脱穀場や鍛冶場で酷使するようになる…。やさしく健気な白象とずるがしこいオツベルを市原さんが熱演。仲間の象が白象を助けに向かう緊迫のシーンでの、市原さんの鬼気迫る語りぶりは必聴です。収録時間：19分43秒

『やまなし』宮沢賢治

谷川に暮らすカニの親子を描いたこころあたたまる物語。父さんカニに甘えたり、カワセミを恐れたり、兄さんカニと吐く泡の大きさを競ったり…感情豊かな子ガニを、市原さんがいきいきと演じます。「かぷかぷ」「トブン」「ぼかぼか」など、賢治ならではの擬音語もリズミカルで楽しい一編です。収録時間：12分22秒

第2巻朗読：西岡�ｺ馬

『俊寛』菊池 寛

打倒平氏の陰謀を企てた罪で仲間と島流しにされた俊寛。ある日仲間だけがゆるされ、俊寛は一人島に取り残されてしまう。絶望に暮れる俊寛だが、ある出来事から彼の心は大きく動きだし…。能や歌舞伎など、悲劇の定番とされてきた『俊寛』の物語を、菊池寛が大胆に新解釈。悲劇的な状況を受け入れ、たくましく生きていく俊寛を演じる西岡さんの語り口は、聞いているだけで力がみなぎってきます。収録時間：70分06秒

第3巻朗読：寺田 農

※寺田 農さんは令和6年3月、逝去されました。

『深川の唄』永井荷風

急速に近代化する街をあてもなく電車に揺られ、出会う人や光景を皮肉まじりに観察する主人公。やがて思い出の地、江戸情緒を残す深川にたどり着くと、昔懐かしい唄が聞こえてきて…。収録時間：44分39秒

『牡丹の客』永井荷風

結ばれない運命を嘆きながらもどこか達観している、そんな男女の倦怠感を、寺田さんがしっとりと表現しています。まるで映画を見ているように、小舟から望む東京の古い街並みが目に浮かぶ語り口です。収録時間：25分39秒

第4巻朗読：橋爪功

『押絵と旅する男』江戸川乱歩

蜃気楼を見に出掛けた帰り、「私」が列車に乗り込むと、そこには魔術師のような妖しい一人の男が。男は持っていた風呂敷をほどき、風変わりな絵を取り出すと、その絵に秘められた奇妙で哀しい物語を語りだす…。妖しげな男になりきった橋爪さんの語りは圧巻。乱歩の細部まで巧みな情景描写で、奇妙な世界がリアルに迫ってきます。収録時間：78分45秒